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シラバス

GC53601

視覚情報科学 Introduction to Vision

標準履修年次: 3・4年専門・選択 ・2 単位
春学期AB  火曜日  5・6時限  3A304
担当教員: 酒井 宏

概要

 ヒトの視覚系でどのような情報処理が行われているのかを概説する。眼に写った2次元像を基にして、3次元構造の知覚や物体の認識といった高度な機能が,どのように脳内で実現されているかを,初学者向けに解説する。視覚情報が脳内で処理されていく順序にそって、網膜、初期・中期視覚皮質,高次視覚皮質と,それぞれにおける機能と内包する計算過程を学んでいく。講義と宿題を通して,「見る」ことの原理を体系的に学ぶ。

学習・教育目標

(1)ヒトの視覚系における情報の流れを理解する。
(2)初期視覚で画像が要素に分解され、中次視覚で再構築される原理を理解する。
(3)動き・奥行き・色が、視覚系でどのように処理されているかを理解する。
(4)物体を認識するためには、どのような情報や機構が必要なのかを理解する。
(5)特定の問題について、ヒトがどのような視覚特性を持つであろうかを、自ら考えることができる。
このようにして視覚系における情報処理の基礎知識を身に付ける。同時に、大学院において視覚科学・画像工学・神経工学等を専攻するのに必要な基礎を身に付ける。

授業計画


講義内容
第 1 週 序論・神経細胞
大脳皮質・神経細胞・シナプスといった視覚を計算するハードウェアの概要
皮質における視覚情報の流れ
第 2 週 眼球と網膜
外界の網膜への結像,その画像が皮質に送られる前の前処理:
コントラスト検出、受容野,平滑微分(Laplacian & Gaussian)
第 3 週 初期視覚
第1次視覚野(V1)における輪郭検出
V1 における画像の表現(Gabor,疎表現, 情報論)
第 4 週 面の知覚
V2における面の形成、知覚体制化、図と地の分離
第 5 週 動きのの知覚
MT/MST、運動知覚、結合問題、神経活動同期
第 6 週 色の知覚
V4,3色系色覚,反対色,色の見え,色の恒常性
第 7 週 3次元構造の知覚 
両眼視、対応問題、遮蔽,陰影、絵画的手掛り
第 8 週 物体認識
下側頭皮質(IT)、物体中心表現、観察者中心表現,categorization,顔認識 
第 9 週 注意と選択
眼球運動,空間注意,特徴注意,注意の欠損,注意のメカニズム
第 10 週 視覚科学の実際
臨床症例・生理実験・心理物理実験からのトピックス

教材・参考書等

スライド・板書を中心とする。主要なスライドは印刷・配布する。参考書は随時紹介する。図書館に多数あるので、各自で借り出して自習すること。
参考書: 視覚学会編「視覚情報処理ハンドブック」朝倉書店(全般、参考図書)、 内川編「視覚 I」「視覚 II」朝倉書店(全般) 、 入来・外山編「生理学, 1」文光堂 (序論、神経細胞、網膜、視覚生理一般)、 Nicholls, Martin, Wallace「ニューロンから脳へ」広川出版 (神経細胞、視覚生理一般)、 福田・佐藤「脳と視覚−何をどうみるか」共立出版(全般、生理学中心)、 宮下・下條編「脳から心へ」岩波書店 (面、動き、物体認識)、 P. M. Churchland 「認知科学:脳科学から心の哲学へ」産業図書(全般)、 S. E. Palmer "Vison Science" MIT press(全般)、 M. W. Levine "Fundamentals of Sensation and Perception" Oxford Press (全般:心理学中心)、 Kandel, et al., "Principles of Neural Science" McGrawhill (全般:生理学中心、講義でよく引用する)、 L. Spillmann & J. S. Werner "Visual Perception" Academic Press(全般:詳細だが若干難しい)、 L. M. Chalupa & J. S. Werner (Ed) "The Visual Neuroscience" MIT, 2004 (全般:詳細だが難しい)、 R. Snowden, et al., "Basic Vision" Oxford,2010 (おもしろい)、 D. Purves, et al., "Principles of Cognitive Neuroscience", Sinauer, 2008(きれいな図)、 J. M. Wolfe, et al, "Sensation and Perception", Sinauer, 2012 (充実した図)、 J. P. Frisby & J. V. Stone "Seeing: the computational approach to biological vision", MIT, 2010(計算論的視点)、 A. Hyvrinen, et al., "Natural Image Statistics", Springer, 2009 (情報論・画像確率論)、 J. S. Werner & L. M. Chalupa "The new visual neuroscience", MIT, 2014 (全般)、 M. S. Gazzaniga "The Cognitive Neurosciences", MIT, 2009 (全般)、 3D shape, Pizlo, MIT, 2008

読み物としては、藤田一郎「見るとはどういうことか」(全般),下條信輔「視覚の冒険」(立体視)、乾敏郎「脳と視覚」(全般)、松田隆夫「視知覚」(心理学)など。

このほか、図書館に多数ある(主に141.21、491などの書架)。

成績評価

レポート(5回を予定;90点)を中心として,質疑・出席(10点)を勘案する。 総合評価:合計60点以上を合格とする。但し、平均点・偏差を考慮して変更する。 レポートのオリジナリティは高く評価し,他と類似したレポートは低く評価する。 レポートは必ず各自で書くこと。

授業内外の学習内容・方法

授業では多数のスライドを見せながらトピックスを紹介し、それを基に復習/宿題によって自分で調べて身につけるスタイルをとる。
毎回ハンドアウトを配布する。ハンドアウトの殆どは,授業で紹介するグラフや実験のスライドであるが,文章による説明は記載しない(出典を記載する; その全ては図書館にある)。授業中にノート代わりにメモを記入して,授業のあとでノートに切貼することを薦める。
板書は要点や数式だけを書く。話を聞いて全体像を理解することに集中すること。判らないことは,そのひとつでも授業中に質問しておくこと。
講義の後で図書館にいき,ハンドアウトと板書を手掛かりに,参考書を読んで復習すること(宿題はハンドアウトと板書だけからでは到底回答できない筈である)。参考書は上述してあるが,授業中にも多数を紹介する。グループで復習することは妨げないが,レポートは必ず各自で書くこと。

予備知識・前提条件

教養程度の数学。 

講義のホームページ

manabaを利用する。

教員連絡先・オフィスアワー

sakai @ cs.tsukuba.ac.jp
教員一覧ページ を参照。
オフィスアワーは第1回授業時に指定する。

Key Word

生体情報処理,知覚,認識,神経科学,認知神経科学
Biological Information Processing, Perception, Cognition, Neuroscience, Cognitive Neuroscience

備考

工学系の他、心理・生物・医学系学生の受講も歓迎する。